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多動力を肯定するブログ

2分間のプレゼン構成が評価を勝ち取る実例

この記事を書いた人:
水元英登(みずもと ひでと)
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継続課金型コミュニティ設計・管理

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プレゼン構成に悩む人は多い。ただ、プレゼン構成を押さえれば人を操ることができる。

観衆に対して自分の立場や主張を語り、ライバルたちに勝利することで勝者は名声を得る。プレゼンは戦略性の高い戦いであり、人類は歴史的に強い者には敬意を抱くものです。

古代ローマの昔から人々はコロッセオで真剣に勝負する剣闘士(グラディエイター)に魅了されたものです。現代に甦った言論ファイターたちの実例から、今を生き抜くためのプレゼン構成技法を身につけることは必須です。

プレゼン構成の基本の型を作る3つの方法

日本の武道において、「守・破・離」という概念があります。まずは代々伝えられている「型」を大事にするという教えです。プレゼンの構成においても、人類の過去の英知の結晶であるノウハウは存在します。まずこの気づきが、他とあなたを分ける最初の大きな要因となります。

長い歴史の中で人類が用い、自然淘汰された末の代表的な3つの型が伝えられています。

  1. SDS法
  2. PREP法
  3. DESC法

これが身についていれば、堅牢な骨子が手に入るので、あとは状況に合わせて肉付けをしていくことが可能です。

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1. SDSプレゼン構成法

  1. Summary(要点) → プレゼンの趣旨を短く伝える
  2. Detail(詳細) → 短く伝えたプレゼンの趣旨について詳しく説明する
  3. Summary(再度の要点) → 言葉を変えプレゼンの趣旨をまとめる

最もシンプルなプレゼン構成の型です。“結論1st” は、現代における常識です。

タスクに追われる現代人は「つまりの部分だけ知りたい」体質になっており、日常で推理小説を楽しむような心の余裕を持ち合わせてはいません。TVのニュース番組の構成のように「●●についてお知らせします」と最初に宣言した後に詳細を説明します。そして、最後に「以上、●●のニュースでした」とまとめます。

なので、最初に話の全体を聞き手に把握させ、安心させるこのシンプルな構成は現代において有効です。

2. PREPプレゼン構成法

  1. Point(要点) → プレゼンのポイントを簡潔に伝える
  2. Reason(理由) → ポイントについての理由を詳しく説明する
  3. Example(例) → 具体的な例を挙げる
  4. Point(再度の要点) → 言葉を変えてポイントを確認する

勘のいい人であれば、これが1つ目のSDS法の応用であることはわかる一方で、その違いがよくわからないのではないでしょうか。

その理由は、SDS法のSummaryとPREP法のPointという別々の概念を「要点」というまったく同じ日本語に訳してしまっていることにあります。

これは「安定した平和な社会」について意見交換した時に、支配者の強い力と秩序によるものをイメージする人と各人の自由と良識によるものをイメージする人とで意見が噛み合わない事象と同じです。別々の「安定した平和な社会」という概念を持っているので、話が通じ合うことはありません。

1つ目のSDS法との違いは、のちに実例を用いて説明さしあげたいと思います。

3. DESCプレゼン構成法

  1. Describe(描写) → 客観的に誰もが肯定する状況の描写に徹する
  2. Express(表現) → 主観的な意見と問題点を述べる
  3. Suggest(提案) → 問題点に対する解決法を述べる
  4. Consequence(結果) → 解決法によって期待される結果を述べる

同じ単語を使っても人によって位置付けや感じ取る印象が違うものです。関東と関西でも違うものです。まして、1センテンスの議題を与えられたとしたら、それぞれの人の頭に浮かぶ情景は千差万別です。

ある出題テーマについて語る時に、プレゼンに対する評価の決定権を持っている相手との共通認識を確認しておかないと話が最終的に相手が求めている回答からずれてしまうことが想定されます。

そこで最初の段階で論点の絞り込みを行うことが有効であると考えます。一体、どのポイントが重要で意見を戦わせる必要があるのかの再定義です。

これにより、相手の頭に自分と共通する問題意識を出現させ、その解決策を一緒に作り出していく共同作業の仲間に引き込むことができるというわけです。

プレゼンは段取りが9割だから構成が大事

プレゼンについて、上手にできる人はしゃべることがうまいのだという「運動能力」的な尺度で考えてしまうのは思考停止の始まりです。そもそも、オリンピック選手のような人物がいて、自分のような平凡な人間では歯が立たないのだと諦めてしまうのはもったいないことです。そのようなアナログで根拠の弱いものを恐れる必要なんてありません。

実は、プレゼンの上手い人は、上で示したような「型」が身についており、そのシナリオの上を綺麗に歩くことができるという差が存在するだけです。

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プレゼンに慣れていない人は、何もない真っ白なキャンバスにゼロから絵を描こうとするために困難でパニックに陥ってしまうのです。

スタート時点で勝負はついていると言って過言ではありません。

プレゼンに苦手意識のある人が、せめてプレゼンの世界の土俵に立つには、上で示した「型」に基づいたガチガチの台本を用意することが第一歩となります。

生きた言葉と死んだ言葉

台本を用意することで、プレゼンに対してある程度の自信を持つことができます。あとは再現ができるまで練習をすれば良いからです。

しかし、用意したものを読み上げるという行為にはどうしても「言わされている感」的な違和感がつきまとうものです。それは、目の前にいる相手に人対人として語りかける生きた言葉に対して、 相手がいない状態で用意した死んだ言葉であるからです。

それも含めて、生きた言葉にまで練習で準備することも理論上可能ではあると考えられますが、膨大な時間をその代償として支払う必要があります。

コスパの高いプレゼンのための構成活用法

1つのプレゼンのために1か月間の準備期間を設けることもできますが、費やされる時間コストを考えることも経営判断として重要なポイントです。

戦争に勝つために、国の資源のほとんどを費やしてしまうようでは、本当の意味での勝利とは言えません。

大きな予算をかけて力技で押し込むようなプレゼンもやり方としては “あり” だとは思いますが、費用対効果の高いプレゼンを使いこなせるプレゼンターである方が局地的な視点ではなく大局的な視点で見た場合に有益であると考えます。

費用対効果の高いプレゼンとは、極端に言うと、一切の準備がなく入念な段取りが出来ない状態でも人の心を動かすことができるプレゼンという意味です。

具体的な方法は、上に示したような「型」だけを身につけていて、その場に応じた肉付けをその都度行うというやり方です。

プレゼン構成の肉付けに有効なWhyの概念

肉付けを素早くする時に有効な一つの手段して紹介したいことがあります。相手の心を動かす方法として、

  1. WHY?
  2. HOW?
  3. WHAT?

の順番で話すというのは定石となっています。

サイモン・シネックの「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」は、それ自体が優れたプレゼンでありますが、その内容を自分のプレゼンに生かすためにわかりやすい内容となっています。ぜひ参考にしてみて欲しいです。

ですが、これはほんの一例です。

www.ted.com

2分間でプレゼンを構成しなくてはならなくなったら

プレゼンというものは、受け取る対象である「相手」が必要です。自己完結するものではなく、相手がいる以上は場所と時刻が指定されます。つまり、締め切りのある仕事と言うことができます。

締め切り意識というものは、プレゼンに限らずあらゆる仕事について大事な概念です。

いつまでにそれを解決しないと「死」に至るのかによって、目的を果たすための手段はまったく異なり、それを見極めるのが経営判断です。

プレゼンまでの準備期間を強制的に2分間で区切られるようなことは、日常生活ではまずあり得ないことですが、これをスポーツとして楽しんでしまうという逆転の発想を持った大会があります。

2分間という具体的な制限がルールとして課せられることで、自動的にコスパの高いプレゼンでなければお話にならない世界が生み出された先進的かつ画期的な歴史的事件です。

あなたの知らない競技プレゼンの世界

競技プレゼンの大会「シンポシオン」では、その場で与えられた出題テーマについて、2分間のシンキングタイムの後にプレゼンをスタートさせなくてはなりません。

このように人は追い込まれると2分の間に、意見の方向性を決め、構成を決め、具体的に効果的な言葉を選び...という作業をすべてパーフェクトにこなすというのは不可能に近い困難な要求です。

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この中で事前に用意ができるものは、プレゼンの構成です。上に示した3つの型を自分のものにさえしていれば、意見の方向性を決め、出だしと締めの効果的な言葉を選びに成功すればその場で自分の語るべきストーリーの線を生み出すことができます。

そこまでできれば、その線が自分にとって確固たる軸となり、実際にスポットライトを浴びたその瞬間に相手に伝えたい「生きた言葉」を発していけばかなり良いプレゼンになることがわかっています。

即興プレゼンであることの柔軟性メリット

また、競技プレゼン「シンポシオン」の特徴として、同じテーマについてライバルが順番にプレゼンをしていくというものがあります。これはビジネスプレゼンでも同じですね。1つの問題に対して、各社が問題解決の提案をしていくのと同じです。

この場合、プレゼンの順番によって戦略を練ることも可能です。

つまり、「1人目がYesと言い、2人目がYesと言い、3人目までがYesと言えば、4番目の自分はNoと言った方が戦略的には有効だ」というような主張の方向性の切り替えが可能です。ガチガチの台本を用意するプレゼンでは、これは不可能です。

評価を勝ち取ったプレゼンターたちの実例

では具体的に、評価を得たプレゼンターによるその場で組み立てた即興プレゼンの構成を見てみましょう。

出題テーマは「女の幸せって結婚なの?」。今井晃氏によるプレゼンです。

続いて、この第三回大会の優勝者、古川洋平氏によるプレゼンです。出題テーマは「年賀状という無駄を撲滅するにはどうしたらいいのでしょうか?」。

プレゼン構成における要点の定義 SummaryとPointの違い

プレゼンの構成における型について語る上で、3つの考え方を上でご紹介しました。1つ目のSDS法における「要点」Summaryと2つ目のPREP法における「要点」Point。この違いを説明しておかなくてはいけません。

Summaryとは、概要・要約とも訳される通り、プレゼン全体の内容をコンパクトにまとめたものです。上の動画の1つ目、今井さんのプレゼンはこれに近いものです。

対して、Pointとは、点です。出題テーマの中の論点、それから設定の絞り込みをするものです。上の動画の2つ目、古川さんのプレゼンはこれに近い始まり方です。

もちろん、白か黒かではなくグラデーションではあるのですが、例としては分かりやすいものではないでしょうか?

人を動かすプレゼンとは構成と生きた言葉

プレゼンの成功とは、人を動かすことです。

必要なのは、堅牢な構成とその上を舞う生きた言葉です。

準備期間でもなければ、どれだけコストをかけたのかでもありません。